特典

初めまして!母学アカデミーの河村京子です。この本を手に取ってくださったことに感謝いたします。

この本を選んで下さった理由は何でしょうか?「母学アカデミーの河村京子」をご存じだったから?それとも、「魔法の子育て」というタイトルに惹かれたからでしょうか?もしかしたら「母と子の夢を叶える」「親の学歴は関係ない」という部分にピンとくるものがあったのかもしれませんね。

いずれにしても、巷にあふれるたくさんの本の中から、この本を選んでくださったのは、ご縁があるからだと思います。今から読み進めていただく間に、そのご縁がしっかりと繋がることを期待しております。

 

「魔法の子育て」というタイトルを見て興味を持ってくださったあなたは、

「コレをしたらよい子が育ちます!」

「アレを使ったら、ラクに子育てができます!」

とちょっと期待されたかもしれません。そう期待してくださったあなたは、半分はアタリ、半分はハズレです(笑)

私は子育ての中で「魔法の子育てをしよう」と思ったことは一度もありません。三人の我が子たちをただ、一生懸命に育ててきただけです。我が子たちが大学生、高校生、中学生になった今、振り返ってみると

「ラクに楽しく子育てをさせてもらったなぁ」

としみじみと思うだけです。

 

私の友人、知人、ご近所さん、我が子のお友だちのお母さんなど我が子をご存じの方から口々に

「どうやってこんなに前向きな子どもを育てたのですか?」

「どう育てたらこんなに自立した子どもになるの?」

「勉強している風には見えないのに賢いのはなぜ?」

といつの頃からか聞かれるようになりました。そして我が子たちが小さい時からお付き合いのある私の親友が、私の子育てをずっと見てきて

「まるで魔法の子育て!」

と命名してくれました(笑)

「どんなところが魔法なの?」

と聞いてみると

「怒ることもせず、子どもの言うことを聞いてばかりだから内心そんなに甘やかしてトンデモナイ子どもに育つのではないかと心配してたけれど、結局3人とも前向きに自立してしまった。魔法をかけたとしか思えない(笑)」

という言葉に私の方がびっくりしました。

 

ここで私、河村京子をご存じない方のために自己紹介をさせていただきますね。

私は今から26年前、25歳の時に結婚式を挙げました。ウェディングドレスに憧れるフツーの花嫁でした。憧れの結婚式や新婚旅行のためにたくさんの時間を使い、準備をしましたが、その時にはまだ、子育てのことなどこれっぽっちも考えてはいませんでした。 バラ色の新婚生活の先には、自然に子どもが生まれて、自然に子どもは育っていくものと漠然と考えておりました。

しかし、いざ結婚生活が始まるとバラ色の生活などどこにもありませんでした(笑)そして、そのころから新聞やテレビで気になるニュースが飛び込んでくるようになりました。青少年の犯罪のニュースや経済の不安のニュース、社会の不安のニュースなどです。それまでもあったのだとは思いますが、全く子どもや社会のことなど興味がなかったので、気が付かなかっただけなのかもしれません。いざ、自分が子どもを持つ番になって初めて、青少年が重大な犯罪を犯したニュースや子どもの虐待や事件などが急に気になり始めたのです。

「もし、自分の子どもが青少年になったときに、事件を起こしてしまったら・・・」

そう考えると、恐ろしくて子どもを産む気にはなれませんでした。そしてよく考えてみると、私は子育ての勉強をしたことがなかったのです!それどころか、赤ちゃんを抱っこしたことさえなかったのです!

また、未来の社会に対する不安もありました。

「もし、私の子どもたちが生きていく未来が暗いものだったとしたら、そんな社会で生きていかなければならない子どもは可哀想なのでは?」

そう思うと、ますます子どもを産む気は失せていきました。

私はもともと「当たって砕けろ」のタイプではなく、知識がなければ行動ができない「マニュアル人間」タイプの人間です。そして子育ては一人の人間を育てる作業。責任は重大です。

世の中にはいろいろな仕事があります。多くの仕事は失敗をしてもやり直しができます。しかし、人間の一生を左右する仕事は、やり直しがきかないのです。例えば、医者や弁護士、学校の先生などです。だからこそ、そういった仕事に就くためには大学に入学し、ハードな勉強をして国家試験に合格して、ライセンスを取らなくてはなりません。仕事以外でも、例えば自動車の運転もそうです。一歩間違って事故を起こしたら、人間の一生を台無しにしてしまいます。だから、運転免許を取るために自動車学校へ通い、試験を受けて運転免許証を取らなくては運転をすることは許されません。

子育てもそんな「一人の人間の一生を左右する」仕事の一つだと思いませんか?それなのに、お母さんにはライセンスはありません。お腹に子どもを宿した日から否が応でもお母さんになるのです。ライセンスどころか、子育てを学ぶ学校も先生もなく、子育ての知識もないままにお母さんになるのです!

 

そんなことを思い始めたら新婚生活を楽しむどころではなく、私は「子育ての勉強」を始めることにしました。子育ての学校などあるわけもなく、まだ、インターネットもあまり普及していない時代でしたから、図書館で本を借りて読むことにしました。

図書館に行くと、教育書のコーナーにはたくさんの育児書、教育書が並んでいます。それらの本を片っ端から読んでいくことにしました。

赤ちゃんの育て方の本、離乳食の本、幼児のしつけの本、小学生の教育、絵本の選び方、子供の病気の本、おもちゃの選び方の本・・・・・

勉強すればするほど面白くて毎週図書館に通ってはたくさんの教育書を借りて読んでいました。

 

そんな生活を続けていたら、いつの間にか5年の歳月が流れていました。5年間の間に、2000冊以上の育児書教育書を読んだでしょうか。学ぶことで漠然とした不安や恐怖は自然になくなっていきました。そんな時に初めての子どもを授かったのです。それからまだ見ぬ我が子の誕生を心待ちに10か月を過ごしました。

初めて我が子を胸に抱いたときの喜び、愛しさは一生忘れることはありません。これは女性だけに与えられた神様からの贈り物だと思います。お子さんをお持ちの方ならきっと同じ感慨をお持ちでしょう。 その日から20年、私は3人の子どもの母になりました。

 

ここまでの私の子育てに至る経緯、考えを読んで、疑問・反論をお持ちになった方もいらっしゃるでしょう。実際、私の考えに反対される方もいらっしゃいます。

「子どもは育児書通りには育たない。だからそんなに子育ての勉強ばかりしても頭でっかちになるばかりで、実際の子育ての役には立たないでしょう。」

「子どもは自然に育つものだから、そんな親の考えを押し付けたら子どもが可哀想。」

「人間は大昔から、子育てなんか学ばなくても子どもを産んだら自然に育ててきた。今更子育てを学ばなくてはならないなんて、間違っている!」

これらは、実際に私が言われたことのある言葉です。人間考え方はいろいろですから、その考えを否定するつもりはありません。

しかし、私の親友が名づけた「魔法の子育て」で子育てをすると、本当にラクに楽しく子育てができます。そして、子どもたちは自立し、夢を持って前向きに歩き出します。今日も楽しみながら夢を叶える努力をしています。

今から数十年前なら母親が子育ての勉強などしなくても、子どもが生まれたら自然と育てることができていました。なぜでしょうか?

その頃は3世代同居の家庭がほとんどで、家にはおじいちゃんおばあちゃんがいました。新米お母さんは子育てのことがわからなくても、教えてくれる先生がすぐそばにいつもいたのです。家族だけではありません。ご近所には世話焼きのおばさんや、子どもを叱ってくれる雷おじさんもいました。地域全体で子育てのサポートをしてくれていたのです。そんな時代なら、母親は子育ての勉強などしなくても安心して子どもを育てることができたでしょう。

でも、現代は核家族の時代です。また、地域のコミュニティーも役割を果たしていないところがほとんどです。そして、お父さんは朝から晩まで仕事で家にはいません。お母さんはたった一人で子育てを担わなくてはならないのです。こんな状況で、子育ての知識もなく赤ちゃんを抱っこした経験もない女性が、お母さんとして子育てをするにはあまりにも厳しい環境です。

 

「魔法の子育て」を20年に渡り経験してきた私は、「子育ての学び」がお母さんを孤独や不安や恐怖から救うということに気づきました。だからこそ私はラクに楽しく子育てをすることができたのです。そして「魔法の子育て」は子どもに不安や恐怖を与えることなく、自分の個性を伸ばすことができる教育法なのです。実際我が子たちは、方向性はまったくバラバラですが、それぞれ自立して自分の夢を叶えるために前進し続けています。

長男は小学6年生で「社会を変える会社を作る!」という夢を持ち、夢に向かって前進し続けています。大学受験も親に相談することもなく自分で<勝手に>東大を受験すると決めて現役合格。大学2年生の時には念願の会社を仲間たちと作り、学生起業家として小学校からの夢を叶えました。

 

それでは、「魔法の子育て」って、何でしょう?特に特別なことをするわけではありません。「こうしなければならない」とか「こうすべきだ」という強制でもありません。お母さんが10人いれば、10通りの子育てがあるのです。だから、「教科書通り」に育てるということでは決してないのです。お母さんがそれぞれの性格と個性と自分自身の考えに沿って子育てをすれば、それがお母さんオリジナルの「魔法の子育て」になります。

ただ、闇雲に自分勝手に子育てをするのではなく、「子育ての基本」をきちんと学んだ上で、自分の個性を生かした方がラクに子育てができます。例えば、お料理をするなら料理教室で基本を習った方が、自己流でするよりも早くきちんとした基本を身につけることができます。スポーツも自己流よりも専門家に指導してもらった方が上達は早いですよね。私は子育ても同じだと考えています。「子育ての基本」を踏まえた上で、ご自分の個性を発揮して欲しいと思っています。

 

さて、ここからが、私の心の中にいつもある「子育ての軸」の説明です。私は次の3つのことを我が子たちの子育てを通して大切にしてきました。

 

まず一つは、「人生は楽しい!」ことを伝えること。子どもの時に「自分の人生は楽しい」と思えたら、その子の人生はきっと楽しいものになると思います。三つ子の魂百までと言います。子どもの時に感じたことは、大人になってもきっと変わらないでしょう。人生山あり谷ありで、辛いこともあるでしょう。でも「人生は楽しい!」と信じることができたら、きっと乗り越えられると思うのです。

こう言うと、「いやいや、楽しいばかりが人生じゃない。人生の厳しさを早いうちから教えなくては。」とおっしゃる方もあるでしょう。ここでのポイントは「楽しさ」の内容です。「楽しさ」には二通りあるのです。

例えば休日に、レストランで美味しいものを食べて、たくさんのおもちゃを買ってもらって、遊園地で遊んだら楽しいですよね。でも、その楽しさは「消費の楽しさ」です。消費をすることは人間にとって快感です。一度味わうともっともっと消費をしたくなります。大人だって同じです。ショッピングをすると楽しくて止められなくなって、お金を遣い過ぎてしまうこともありますね。

消費の楽しさを人生の最初に覚えてしまったら、欲望はエスカレートするばかり。これでは本当の「人生の楽しさ」を伝えることはできません。

それでは、本当の「人生の楽しさ」とは何でしょう?私は「生産の楽しさ」だと考えます。同じ休日でも、家族でお弁当を作って、公園へ行って滑り台や砂場で遊んだとしたらどうでしょう?楽しいですよね。でもその楽しさは「消費の楽しさ」とは違います。「生産の楽しさ」です。

「生産の楽しさ」はまさしく、自分の手で何かを作り出す楽しさです。手や体や頭を使う前向きな楽しさです。作り上げたときの達成感は何物にも代えがたいのです。子どもの時から「生産の楽しさ」を知っている子は、勉強も仕事も前向きに頑張れます。勉強も仕事も「生産」の活動ですから。

反対に「消費の楽しさ」は、お金や他人の力を消費する受け身の楽しさです。自分の体や頭を使わなくても、お金を遣うことで「与えられる楽しさ」を受け取るだけです。でも「消費の楽しさ」は一時のものです。すぐに次のもっと大きい「消費」をしたくなります。その欲望はエスカレートするばかりです。止まることはありません。そして、「消費の楽しさ」を先に覚えてしまうと、「生産」をすることがメンドクサクなります。駅でエスカレーターに乗ることが習慣になってしまったら、階段を上るのはメンドクサイですよね。

そして、勉強や仕事は「生産」の活動です。「消費の楽しさ」を先に覚えてしまって勉強や仕事がメンドクサクなったら、その子の人生は幸せでしょうか?こう考えたからこそ私は、我が子たちには常に「生産の楽しさ」を教え、「人生は楽しい!」と感じることを一番に考えてきました。

 

次に二つ目は、「トコトン!」やらせること。これは、お母さんなら誰でもそう思うのではないでしょうか?実際、私がお会いする多くのお母さんが

「子どもにはトコトンやりたいことをやらせたいです」

とおっしゃいます。でも、そのすぐ後に落書きをしているお子さんに向かって

「止めなさいっ!」

と止めに入ったり(笑)

そうなのです!多くの親御さんのおっしゃる

「トコトンやらせたい」

は、親の許せる範囲の中での「トコトン」なのです。人に迷惑がかかることはトコトンやらせるわけにはいかないのです。もちろん、私だって何でもトコトンやらせたわけではありません。私の許せる範囲の中です。でもその「許せる範囲」を極限まで広げる努力をしました。例えば、カブトムシ、イモリ、ヘビを飼うとしたら、どこまでが許せる範囲ですか?たいていのお母さんはカブトムシはOKでしょう。イモリは半数のお母さんくらいでしょうか?では、ヘビは?

我が家ではヘビもOKでした(笑)もちろん、私も主人もヘビは苦手です。見るのもイヤです。でも、我が子が飼いたいと言ったら、自分の「許せる範囲」を極限まで広げてヘビも飼わせました。もし、そのヘビがマムシだったら、OKは出さなかったと思いますが(笑)

 

三つ目は、「氷山の水面下を見る」こと。氷山はご存じの通り、水面上に出ている部分はわずか全体の1割だそうです。後の9割は水面下に隠れていて見えません。私は子どもたちの成長の中で、見える部分は氷山と同じでほんのわずかだと思っています。見えるのは「行動」「結果」だけです。例えば、子どもが壁にクレヨンで落書きをしたとします。見えるのは、「子どもが落書きをしている姿」と「壁に残ったクレヨンの落書き」だけです。それを見ただけでカッと頭に血が上ります(笑)

「コラ~っ!」

と怒鳴りたくもなります。もちろんそんな場面では私もカッとなります。

でもその時に、水面下を見る努力をしました。水面下に隠れているものは「好奇心」「集中力」「想像力」「創造力」です。子どもはお母さんを困らせるために落書きをしたのではありません。白い大きなキャンバス(壁)に「好奇心」と「想像力」でイメージをふくらませ、「集中力」と「創造力」を使って自分を表現していただけなのです。そう思ったら、怒鳴るよりも「素敵な絵が描けたね」と褒めてあげたくなりませんか?その後で、スケッチブックなら描いてもいいけれど、壁に描くと皆が困ることを静かに教えてあげればいいのです。子どもも自分を認めてもらって満足した後なら、壁にクレヨンで落書きをしてはいけないことをちゃんと理解することができます。

 

 

この三つのことをいつも頭において子育てをすると腹が立つことも怒ることもグッと減ります。(でも、なくなりはしないですが(笑))そうすると自然と自分の「子育ての軸」がしっかりしてくるのを感じることができるでしょう。「子育ての軸」がしっかりすると子育てはうんとラクになるのです。だって、困ったことが起きたときにも、自分でYES・NOが自信を持って決められるのですから。また、周りの人(たとえばお姑さんやママ友)から

「あなたの子ども、ちょっとヘンじゃない?」

と言われたとしても、落ち込むことがなくなるのですから。

 

本書では、「子育ての軸」をしっかりとしたものにするためのアレコレをお伝えしようと思います。決して子育てのノウハウではありません。「子育ての軸」さえしっかりすれば、子育てのノウハウは一人一人違っていてもいいのです!だって、お母さんだっていろいろ、お子さんだっていろいろなのですから。

 

あなたのお子さんが「自立して夢を叶える」子どもになるためには、次の4つの力を身につけさせてあげることが重要です。その4つの力とは

 

★先考力(せんこうりょく)・・・先を読む力

★広考力(こうこうりょく)・・・物事を広くとらえる力

★深考力(しんこうりょく)・・・物事を深く考える力

★体脳力(たいのうりょく)・・・丈夫な体と賢い脳

 

です。辞書を調べてもこれらの言葉は出ていません。私が作った造語です。私が子育てをしている時には、まだこんな言葉は考えていませんでした。今、「母学」を子育て中のお母さんにお伝えするために、また私の考えをわかりやすく説明するためにこんな言葉を造ってみたのです。これから本書のページをめくっていただくと、これらの言葉の本当の意味と、具体的にどんな時にどうやって身に付けさせるのかを書き記していきます。どうぞ、あなたのお子さんと、お子さんとの生活を思い浮かべながら読み進めてください。全部が全部あなたの子育てにぴったり役立つことはないかもしれません。でも、一つでもあなたの子育てのヒントになることがあれば、本当にうれしく思います。そして、母学を学んで、ラクに楽しく子育てをするお母さんが増えて、不安や恐れを感じることなくのびのびと成長するお子さんが日本中にあふれる未来を楽しみに本書を書き進めたいと思います。