【学力の全体計画】
子どもの学力について考えるとき、最も大事なこと
子どもの学力について考えるとき、
「学力の全体計画」
が最も大事です。
まず、「全体って何?」
と思われたことでしょう。
学力とは主に
「小学1年生から高校3年生まで」
の勉強に関して言います。
「学力が高い」とは、「勉強ができる」という状態です。
小学校から始まる勉強の最終目的は、多くの人にとっては大学受験です。
もっと大きな意味での勉強では、もっと大きな目的があるのでしょうが、わかりやすい目的として大学受験を考えている人が多数ではないかと思います。
では、学力を上げるためには、早くから(幼いうちから)勉強を詰め込んでいけば良いのでしょうか?
こういう聞き方をすると、冷静な今であれば、
「幼いうちから勉強を詰め込むなんてかわいそう」
と感じるでしょう。
でも、いざ目の前の我が子を見ると、
「学力を上げるためには早くからコツコツと勉強させなければ」
と思ってしまいませんか?
これは仕方がないことでしょう。
私の考える「学力の全体像」とは
次に、ここで私がいう「学力の全体像」について説明します。
小学校から高校までの間にしなければならない「勉強」についてです。
私は、二通りの勉強をしなければならないと思っています。
それは、
①学歴のための勉強
②人生のための勉強
です。
「学歴のための勉強」はわかりやすいですね。
大学受験のための学力です。
テストの点数や偏差値と言えば分かりやすいでしょうか。
では「人生のための勉強」とは何でしょうか?
これらは、例えば
・友達と遊ぶこと
・喧嘩をしたり仲直りをしたりすること
・冒険をすること
・いたずらをして先生に叱られること
・自然の中で遊ぶこと
などです。
他にもたくさんありますが、
いわゆる、「遊びや生活の中で得られる学び」です。
「学歴の勉強」は目に見えますが、
「人生の勉強」は結果が目に見えません。
そして、大学入試までは「学歴の勉強」がものをいいます。
偏差値が低いといい大学には入れませんから。
大学を卒業して社会に出ると、もう「学歴の勉強」は必要がなくなります。
その代わりに「人生の勉強」をどれだけしてきたかが大切になるのです。
いわゆる「仕事ができる人」は、ただ高学歴なだけなのではなく、人生の勉強をたくさんしてきた人だと思います。
ただし、社会に出てから「人生の勉強をやり直そう」と思っても遅いのです。
小学生の時にやっておかなかったことは、大人になってやり直すことはできないのです。
(大人になって本気で殴り合いのケンカをしたら、逮捕されてしまいますから笑)
お子さんが小学生(幼稚園や保育園)の今、どうしたら良いか?
では、今お子さんが小学生(幼稚園や保育園)という方の場合、どのようにしたら良いのでしょうか。
1 日の時間は限られています。
その中で「学歴の勉強」と「人生の勉強」のバランスをとることが大事になります。
小学校低学年の間はなるべく「人生の勉強」の比重を大きくして、
学年が上がるごとに「学歴の勉強」の比重を大きくしていくべきなのです。
これが「学力の全体計画」です。
私は学力に関しては、「先手必勝」が良いとは思いません。
早く勉強を始めてたくさん詰め込むほど学力が上がるかというと、そんなことはありません。
子どもの年齢に合った生活をして、その時にしか得られない能力を蓄えていくことが、後々の学力にもつながっていくと信じています。
それでも低学年の我が子に勉強させないことを選ぶことは、親として難しいでしょう。
特に中学受験を考えていらっしゃるご家庭では、小学1年生だからといって遊ばせてばかりというわけにはいかないかもしれません。
長男と次男が中学受験をした我が家の場合
我が家の長男と次男は中学受験をしました。
我が家がどんなふうに「学歴の勉強」と「人生の勉強」のバランスを取っていたのか?
私が我が子たちを育てている間、高い学力をつけさせたいと思っていました。
それと同じくらい、人生の勉強もたくさんさせたいと考えていました。
では、1日24時間しかない中、どうしていたと思いますか?
それは、
「学歴の勉強」の中に「人生の勉強」を入れ込む
ようにしていたのです。
つまり、勉強だけを詰め込むのではなく、遊んだり経験をしたりすることによって、学力(地頭)を鍛えていくことに注力したのです。
では、一体どうすれば、
「学歴の勉強に人生の勉強を入れ込む」
ことができるのでしょうか?
「学歴の勉強」と「人生の勉強」を別々に考えると、バランスを取るのが難しくなってしまいます。
ですので、両者がなるべく1つになるように工夫すればいいのです。
「学歴の勉強」というと、「ドリルや問題集をやらせる」というイメージですが、
もし勉強が遊びになれば、それは子どもにとって「人生の勉強」になるのです。
遊びの中で勉強もできてしまう具体的な方法
我が家では、子どもが小さい時からボードゲームを生活に取り入れていました。
これは子どもにとっては遊びです。
ボードゲームの中には、ものすごく頭を使わないと勝てないゲームがあります。
◯か×かを決めるのではなく、
「どうやったら勝てるか」
「どうやったらゴールに早くたどり着けるか」
「どうやったら早く計算できるか」
「どうやったら語彙が増えるか」
こんなボードゲームがたくさんあるのです。
ボードゲームだけではなく、たとえ学校の宿題をする時でも、それを「嫌々やる勉強」から「楽しい遊び」に変える方法もあるのです。
その結果、子どもたちは
「遊びながら学力をつけた」
と思っています。
我が子たちが大人になった今、小学校低学年のときの勉強をどう思っていたか、聞いてみたことがあります。
3人とも異口同音に、
「勉強を嫌だと思った事はないし、詰め込みをさせられていると思ったこともない。遊んでいる感じだった」
と言っています。
「よじ登る子育て」ではなく「子どもの背中に羽をつける子育て」を
話は変わりますが、現代の子育ては「よじ登る子育て」になってしまっています。
「よじ登る」って??
つまり、生まれた時から目標を設定され、目標に向かって山をよじ登り続けている、という意味です。
よじ登る山は「大学」だったり「就職先」だったり・・・
誰かと競いながら山をよじ登り続けるのは、とても辛いことです。
まだ幼い我が子のお尻を叩き続けることも、親にとっては辛いことです。
20年前も同じ状況でした。
しかし、生まれたばかりの我が子を抱え、私は「よじ登る子育てはしない」と決心しました。
「よじ登らなければ山は越えられない」
と思いますか?
よじ登らなくても、山は越えられるのです!
それは、
「子どもの背中に羽をつける」
イメージです。
羽があれば、山は越えられます。
そんな子育てをしようと、新生児の我が子を胸に抱き、私は決心しました。
「子育ての目標は学歴ではない」
しかし、賢い人間に育てたいと私は思っていました。
学力は、ないよりもあったほうがいい。
と言うよりも、背中に羽があり、前向きに進む子どもには、自然に学力はついてくると思うのです。
賢い人間が身に付けているもの、それが「本当の学力」です。
つまり、子どもを賢く育てるための子育てをすれば、問題集を山のようにこなさなくても、たくさんの塾に通わせなくても学力はついてくるし、結果として学歴もついてきます。
そう信じて20年間の子育てをしてきました。
20年経った今、それが間違いではなかったと、やっと断言できるようになりました。