塾なしで東大に合格する地頭を育てる【氷山の一角】〜生活の中での地頭の作り方〜
このシリーズでは、塾なしで東大に合格する地頭を作る子育てということでお話をしていきます。
今回のテーマは【氷山の一角】です。
今回も、「〝氷山の一角〟をすれば学力が上がります」というお話ではありません。
【氷山の一角】というイメージを持って子育てをすると、子どもと分かり合うことができます。
子どもが思春期になったとき、よく
「お母さんは自分のことを分かってくれない」
「お母さんは子どもが何を考えているのか分からない」
という親子さんがすごく多いと思うのですが、そうではなくて、思春期になっても、もちろん小さなときも、親子が分かり合える、そんな子育ての方法です。
「お母さんは自分を信頼してくれている」
「お母さんも子どもたちを信頼している」
そんな親子関係ができると、子どもはのびのびと自分の力を伸ばすことができます。
自分の力をのびのびと伸ばすことができれば、どこの大学でも合格できると私は信じています。
●氷山の一角とは?子育てとの関係について●
氷山とは、海の上に浮かんでいる氷の山です。
氷山というのは、海の水面から上に見えている部分はほんのわずかだそうです。
その水面下に隠れている部分が大部分で、見えているところはほんの少し、ということです。
では、氷山と子育てにどういう関係があるかというと、
「いくら親子であっても、子どもの見えている部分というのはわずかである」
ということです。
子どもの大部分は、親であっても分かりません。
ですので、見えている部分だけで「この子はこういう子だ」という評価をしてしまうと、子どもの隠れた能力を引き出してあげることができないのです。
●氷山の「見えている部分」と「見えていない部分」子育てにおける具体例その1〜家が水浸しに!〜●
たとえば、小さなお子さんが家の中で水をまいて遊んで、家の中が水浸しになってしまったとします。
ここでいう氷山の一角(見えている部分)とは、「水浸しになった我が家」です。
そこだけを見ると、「何してくれるのよー!」などと、カーッと頭に血がのぼってしまうと思います。
一方で、その時の氷山の水面下(見えていない部分)は何かというと、「子どもの気持ち」です。
「この子は何故こんなことをしたんだろう?」ということを考えてあげて欲しいのです。
子どもは、「お母さんを困らせてやろう」といったような意地悪な気持ちで水をまいたりするわけではありません。
何か理由があってしたはずなのです。
たとえば、「自分は消防士さんなんだ!」とイメージをふくらませて、「火事が起こったから火を消そう!」というシチュエーションを想像して水をまいたのかもしれません。
そういった水面下の子どもの心の中を親は見てあげて欲しいのです。
もちろん、見ることはできませんから想像します。
それができると、水浸しの我が家を見たときに、そこに立っているお子さんを怒るのではなくて、「わ〜水浸しになってるね、どうしたの?」と声をかけることができます。
笑顔は無理かもしれませんが、「どうしたの?」という気持ちで聞いてみます。
そこでお子さんから「ぼくは消防士さんになって火事を消したんだよ」といった話があれば、「火事を消してくれてありがとうね」と言ってあげることができます。
そうすると子どもは「お母さんが自分を認めてくれた」と感じ、満足します。
後片付けに関しては、そのあとでいいと思うんです。
まず最初に共感してあげて、それから「じゃぁ一緒に片付けようね」と片付けをする。
そうすることで、子どもの能力はどんどん伸びていくと思っています。
●氷山の「見えている部分」と「見えていない部分」子育てにおける具体例その2〜朝の支度をしない我が子〜●
たとえば、幼稚園さんでも小学生でも、出かける時間が迫っているのに、パジャマのままでなかなか着替えずにグズグズしている、という場面があったとします。
この場合、氷山の一角「見えている部分」というのは、
・時間に遅れてしまう
・まだパジャマのままでいる
・どうして早くしないのかしら
・イライラする
といった部分です。
そのときに「早くしなさい」と言うのではなく、氷山の水面下「見えていない部分は何か」と想像してみます。
その理由は、お子さんによって違うかもしれませんが、
・お母さんと離れたくない
・家の居心地がいいから外に出たくない
・幼稚園や学校で嫌なことがあるから行きたくない
・今日の給食で嫌いなものが出るから行きたくない
など、何か理由があるのかもしれません。
もし水面下でそういったことがあるとしたなら、「どうしたの?」って聞いてあげて欲しいんです。
そうすると子どもは「今日は嫌いな給食が出るから行きたくないんだ」
などと気持ちを話してくれるかもしれません。
そうしたら、そこに共感してあげてほしいのです。
「今日はブロッコリーが出るのね。あなたブロッコリーが好きじゃないものね。辛いよね」
というふうに、共感してあげます。
すると、給食のメニューが変わるわけではないけれど、子どもは「お母さんに共感してもらえた」というだけで元気が出るのです。
そのあとに、もし何か付け加えることがあるとすれば、例えばお子さんがお絵かきが好きであれば、
「今日はお絵かきの時間があるんじゃない?それは楽しみだよね」
というように、まずは嫌な気持ちに共感してあげて、そのあとで楽しいことを伝えてあげます。
そうすると、子どもは頑張る力がきっと湧いてくると思います。
●氷山の「見えている部分」と「見えていない部分」子育てにおける具体例その3〜テストの点が悪かったとき〜●
もう少し大きいお子さんの場合で、例えば中学受験の勉強を一生懸命していて、テストの点が悪かったとします。
この場合、氷山の一角「見えている部分」は、「テストの点が悪かった」という部分です。
その時に、そこだけを見て
「どうしてこんなに点数が悪いの?」
「もっと頑張りなさい」
などと言ってしまうと、子どもは心を閉ざしてしまいます。
「どうせお母さんに言っても分かってもらえない」といったように。
そんなときも、氷山の水面下を想像してあげて下さい。
「あんなに一生懸命がんばっていたよね」
「お母さんはみていたよ」
など。
もしかしたら、子どもがちょっと怠けていて点数が悪かった、ということもあるかもしれません。
その時には、子どもは既に、その点数を見たときに反省をしているはずです。
だからそれ以上「あなたが勉強しないからこうなるんでしょ」などと言う必要はありません。
「今回は残念だったね」
「次はきっとできるよ」
と、励ましてあげましょう。
●氷山の「見えている部分」と「見えていない部分」、分けているのは何?●
ここまでで、
氷山の水面の上=「見えている部分」
水面下=「見えていない部分」
というお話をしましたが、これらを切り分けているのは何でしょうか?
大きく分けると、
・水面の上(見えている部分)
=母親(自分)の都合
で考えていることが多いです。
一方で、
・氷山の水面下(見えていない部分)
=子どもの気持ち
です。
たとえば、
〇水面の上(見えている部分)
=母親(自分)の都合
はどういうことかというと、
・家が水浸しになったら
→片付けるのが面倒くさい
・幼稚園の用意がすぐできなくて遅刻したら
→親のしつけがなっていないと先生に思われる。恥ずかしい。
・テストの点が悪かったら
→我が子の属するクラスが落ちてしまう。
そうしたら中学受験で不合格になるかもしれない。そうしたら自分が恥ずかしい。
といった母親(自分)の都合(気持ち)です。
このように、水面の上の「見える部分」というのは、「自分を優先する気持ち」ということが多いです。
一方で、
〇氷山の水面下(見えていない部分)
=子どもの気持ち
と切り分けてみると、
・家の中が水浸し
→消防士さんになりきっていたので、想像力がとても豊か
・幼稚園の支度がすぐにできない
→お母さんと離れるのが寂しい
・テストの点が下がってしまった
→次はがんばるぞ!と決心をしている
といったような、子どもの気持ちです。
水面の見えるところ=自分が優先すること
水面下の見えない部分=子どもを優先すること
が多いように思います。
子育ての中では、いろいろと都合の悪いことが起こります。
子どもがいたずらをしたり、喧嘩をしたり。
いろいろなことが起こるけれども、表面上(見える部分)だけで判断するのではなく、
見えない部分(子供の気持ち)を想像してあげて、そこをなるべく汲んであげる、ということに気をつけていくと、
子どもは「お母さんは自分のことをわかってくれる」と感じます。
「お母さんから信頼されている」と思えた子どもは、自分の能力をのびのびと伸ばすことができます。
自分の能力をのびのびと伸ばせば、自然と地頭は良くなると私は信じています。