【外遊び・自然体験のススメ〜遊びながら地頭を鍛える方法〜】
もうすぐ夏休み!
コロナの影響で短い期間だとしても、子どもたちにとってはやっぱりワクワクする時期です。
今年は特に、お出かけ先の候補として、換気しづらい室内よりも屋外での遊びを選択される方が多いかもしれません。
コロナ休校中は特に、都市部の公園はイモ洗い状態だったと聞きますが、暑さ対策をして元気に外遊びをさせてあげたいですね。
今回は、外遊びや自然体験で身につく力についてのお話です。
●考える力や想像力、空間認識能力が育つ●
我が家の夏休みは、勉強は最低限だけにして、徹底的に遊んでいました。
“遊ぶ”といっても、テレビやゲームなどの受け身の遊びではありません。
・海に行って砂浜に大きな山を作る
・山に行って木登りをする
・かくれんぼ
など、頭や体を使った遊びです。
これらは、ただ見ているだけで楽しませてくれるテレビやゲームと違って、考えたりイメージしたりする力が自然と身につきます。
(詳しくはこちらの動画“生産と消費”をご覧ください。)
例えば、
・砂浜に大きな山を作ったのに、すぐ波にさらわれてしまった!
→山の前に砂で堤防を作って波を防ごう!
・この木に登りたいけど、うまく登れない。。。怖い。。。
→どの枝に手をかけたら上手に登れるか?どこに足を置いたら安定するか?
・鬼に見つからないように隠れなきゃ!あの子を探さなきゃ!
→走ったり隠れたりするためにたくさん動く。鬼に見つからないようにと頭を使う。
これらは全て、能動的な“答えのない遊び”です。
答えがひとつではないから頭をフル回転させて考えるし、体を動かすことで、机上では学べない立体感覚が身につきます。
さらに、ひとくちに外遊びといっても、遊具のある公園とプレイパークでは頭の使い方が違ってきます。
例えば、公園にあるブランコや滑り台は、使い方を教わらなくても遊び方がすぐ分かります。
一方で、プレイパークには、階段のない垂直な板に斜めの板が差し掛けられているだけの大きな箱(滑り台)があったりするのです!
階段がないから空き瓶のケースを積み重ねて足場にしたり、お友達の手を引っ張って助け合ったり、頭と体をたくさん使います。
そんなふうに、遊びながら楽しく頭や体を使っていると、嫌でも考える力や想像力が身につき、自然と地頭は良くなっていきます。
●花の色を見たり鳥の声を聞いたりすることで、色彩感覚や聴力など感性が育つ●
自然の中には、たくさんの色や音があります。
それは、プラスチックのおもちゃに塗られた赤や青のハッキリした色とは全く異なるものです。
例えばあじさいやひまわりの花。
ひとくちに“紫” “黄色”といっても、花によってその薄さや濃さの色合いは違いますし、陽の光の強さや角度が変わるだけで違う表情を魅せてくれます。
子どもによって、あじさいの色を「みずいろ」と言う子もいれば、「うすむらさき」と表現する子もいるでしょう。
小鳥のさえずりひとつとっても、同じ時間に同じ鳴き方をする鳥はいません。
「ミーンミーン」と激しく強く鳴くセミの声は真夏の暑い日中ならではのものですし、ひぐらしが「カナカナカナ・・・」と鳴いているのを聞けば、「もう少し遊びたかったけれど帰らなきゃいけない」夏の終わりの夕暮れ時を、大人になっても思い出すかもしれません。
そういった感性もまた、美術や音楽の授業だけで身につけられるものではないのです。
●これからの仕事や生き方に必要な力~ゼロからイチを生み出す力~が身につく●
便利なものが溢れている現代では、何もない山の中などでは、子どもたちはうまく遊べないそうです。
「ブランコや滑り台などの遊具がないから遊べない」
でも、何もない自然の中で、自分で遊びを作り出すことこそが、ゼロからイチを生み出す能力に繋がります。
例えば、
・木にロープを結びつけてターザンごっこをする
・小刀で木を切って、枯れ木で弓矢やパチンコを作る
など。
何もないゼロの状態からイチの遊びを作り出すときには、とても頭を使います。
・ぶら下がっても落ちないようにするには、ロープをどのくらい強く結んだらいいだろう?
・どの角度で枝を組み合わせたら、弓やパチンコ玉がよく飛ぶかな?
といったことを、必然的に考えます。
そんなふうに、自然の中には、街の中では得られない“答えのない遊び”がたくさんあるのです。
ちょっと分かりにくい表現かもしれませんが、街の中と自然の中では得られるものが違います。
街の中というのは、“ゴールが設定してあって、そのゴールにいかに早く正確に到達するか”という効率を求めることが非常に多いと思います。
例えば、
・25メートルを◯秒以内に泳ぐ
・ピアノの発表会でこの曲を弾く
といったゴールが設定されていて、それを達成するために練習し、そこにいかに早く正確に辿り着くかを競います。
あらかじめ決まっていて指定されるので、ゼロからイチを作ることは、街の中では難しいと思います。
でも、自然の中には何もないので、何もないところから遊びを作り出すことで、試行錯誤する力や仲間と協力しあう目に見えない力が養われるのです。
これからの時代を生き抜くために、とても大切な力です。